原子をつないで分子のカタチを組み立てるパズル PuzMol(パズモル) をご紹介します
PuzMol は、原子をつないで分子をつくるパズルです。身近で安価な材料の紙で作ったペーパークラフト版と、いつでもどこでもだれでもすぐに使えるウェッブアプリ版があります。
紙でつくったペーパークラフト版の PuzMol は、ハサミや接着剤などを用いずに、幼児や小学生でも、安全に・簡単に組み立てることができます。
ウェッブアプリ版は、パソコン・スマートフォン・タブレットなどのインターネットにアクセスする環境があれば、いつでも・どこでも・だれでも・すぐに使うことができます。
PuzMol は、子どもたちの探究心を育む知的玩具、授業での主体的な学びを促す学習教材、科学の楽しさを伝えるコミュニケーションツールなど、広く活用できます。
PuzMol とは?
分子のカタチを見える化する分子模型
分子模型は、「目に見えない分子」のカタチを「見える化する」ためのツールとして、化学の授業などで用いられることがあります。
たとえば、授業で分子のカタチと性質との関わりを説明するときに、分子模型を活用すると、学び手の感覚的な刺激を喚起しながら、教え方に変化性を持たせることができます。
また、生徒ひとりひとりが分子模型を手に取り、試行錯誤して組み立てながら、気付いたことを生徒同士でお互いに話すことで、主体的・対話的な学びも促されるように思います。
高価な分子模型をひとりひとりが手にするのは難しい
教材として市販されている分子模型の多くは「プラスチック製」で、原子を「球」、原子間の化学結合を「棒」で表現しています。
生徒ひとりひとりが分子模型を「自分専用」に持ち、教室だけではなく、自宅での学びにも活用できるのが理想的です。
しかし、教材として市販されているプラスチック製分子模型の値段は、高校化学の教科書に載っているような小さめの分子を作れるセットでも2〜3千円程度。
生徒ひとりひとりが所有できるように「学校で購入する」or「生徒個人が私費で購入する」ための経済的な負担は小さくありません。
分子のカタチを楽しく組み立てるパズル PuzMol
PuzMolは、「化学の学びを、もっと身近に」することをめざして、身近で安価な材料の紙製のペーパークラフトとして、そして、いつでもどこでもだれでもすぐに使えるウェッブアプリとして開発した、分子のパズルです。
学校の化学の授業などでも、手軽に組み立て・自由に組み替えることができる分子模型、そして、分子のカタチの成り立ちをパズルのように解きながら楽しく学べる教材として、さまざまな活用ができます。
PuzMol は、基本的には、原子と結合のパーツを「平面的」に組み立て、原子同士のつながりを模式的に表現します。
ペーパークラフト版 PuzMol
ペーパークラフト版は、フラーレンのようなシート状の要素を持つものであれば「立体的」な構造を組み立てることもできます。
C60 フラーレンのように大きなサイズの分子模型を作ろうとすると、たくさんのパーツが必要となります。安価に製作できる PuzMol を用いることで、教材費を大幅に削減できます。
ウェッブアプリ版 PuzMol
ウェッブアプリ版では、原子ごとに決まっている結合の手の数(原子価)の残りをリアルタイムに表示。
分子のことをはじめて知る小学生〜中学生でも、化学的に正しいカタチをつくることができるようにサポートします。
組み立てた分子をもとに、結合エネルギーの総和を計算したり、外部プログラムと連携も可能。
高校〜大学の授業などでも、さまざまな分子の性質を予測するコンピュータ・シミュレーションとして活用できます。
ウェッブアプリ版 PuzMol の使い方
いつでもどこでもだれでもすぐに使えるウェッブアプリ版について、まだ動作確認が完全!とは言えませんが、試作バージョンを下記のリンク先で公開しています。
まだまだ、不具合なども多いと思います。うまく動作しなかったり、操作感がいまいちだったり、こんな機能が必要だよ、というコメントやアドバイスがあれば、ぜひお知らせください!
ペーパークラフト版 PuzMol の使い方
ペーパークラフト版の PuzMol は、下の写真に示すような、紙でつくった 3種類のパーツを用いて、分子を作ります。
組み立てるときには、はじめに、それぞれのパーツの端を手で折り曲げます。
四角形のパーツ(A)は「水素原子」、六角形のパーツ(B)は「水素以外の原子」になります。
水素以外の原子は、炭素は黒、窒素は青、酸素は赤というように色分けしています。
長方形のパーツ(C)は「原子同士をつなぐ化学結合」になります。
原子と結合をつなぐときには、下の写真のように、両端の「羽」を閉じて原子の側面にある切り口に差し込み、「羽」を広げるだけ。
PuzMol は糊や接着剤などを使わないので、幼児や小学生でも安全に・簡単に組み立てることができます。
PuzMol の組み立て方を動画で見てみましょう。
原子を組み替えるときには、結合パーツの両端の「羽」を閉じて原子から引き抜いて、別の原子に差し込んで「羽」をまた広げます。
ペーパークラフト版 PuzMol の材料は「紙」なので、サインペンなどで書き込むことで、さまざまな方法で分子の構造を表現することができます。
アンモニア(NH3)を表現した模型のように、結合の部品に立体性を表す記号を加えることで、分子の立体性を表現することができます。
また、元素記号や電子対など、授業・演習の学習目標などに応じて、学びの足場掛けとなるさまざまな表記を書き加えることもできます。
さらに、ブタジエン(C4H6)を表現した模型のように、結合の部品に線を書き加えることで、単結合と二重結合など、化学結合の種類を区別することもできます。
ペーパークラフト版 PuzMol を作ってみよう!
きほんの分子を作ってみよう
下に示す「お手本シート」を参考にしながら、PuzMol をつかって、2〜6原子で構成される小さなサイズの分子を作ってみましょう。
子どもたちと一緒に、「毎日飲んでいる水とか、身の回りにあるものはみんな、分子という、小さな粒からできているんだよ」とおしゃべりをしながら、楽しく作ってみてください。
C20フラーレンを作ってみよう
下の写真を参考にして、PuzMol の炭素パーツを 20 個、「5角形」となるように結合のパーツでつなげて、C20フラーレンを作ってみましょう。
最初は平面的だったものが、炭素のパーツをつなげて増えていくと、だんだんとボールのかたちになっていきます。
ダイアモンドや黒鉛などの他に、フラーレンやナノチューブなど、多彩な形を作ることができる「炭素」の面白さを感じてもらえるのでは。
くすりの形を作ってみよう
文部科学省が配布している 学習資料「一家に1枚」シリーズ のなかに、下に示すような「くすりの形」というものがあります。
PuzMol をつかって、ここに載っているさまざまなくすりの分子を作ることにチャレンジしてみましょう。
インフルエンザに罹ったときに処方される抗ウイルス薬のタミフル(オセルタミビル)など、皆さんが日頃お世話になることもある「くすり」、PuzMol をつかって、その形をつくってみませんか?
製品版の入手方法
PuzMolの製品版について、オンラインストアでの販売を開始いたしました。
PuzMol 基本セットは、A4サイズの丈夫なケント紙に、以下のパーツが切り抜かれています:
- 水素(白):48 個
- 炭素(黒):20 個
- 酸素(赤):10 個
- 窒素(青):10 個
- 結合(灰):80 個
上記の他に、自由に色を塗ったり、元素記号を書き込むことでカスタマイズ可能な原子パーツ(白色の六角形)が 10 個含まれています。
詳細については、以下のリンクからアクセスしてください。
サンプル版の提供(教育機関向け)
学校教育に関わっていらっしゃる方で、PuzMol を使った授業などを検討していただけるようでしたら、まずは、下の写真にあるようなペーパークラフト版 PuzMol をサンプルとしてお送りしますので、使用感などを実際にご確認ください。
サンプルを確認いただいた後、授業などで活用いただけるようでしたら、ペーパークラフト版 PuzMol を何セットくらい必要とされるかなど、具体的にご相談・打ち合わせしましょう。
今のところ、いろいろなご意見をぜひお伺いできればという段階なので、ご無理のない範囲内で次のことを報告していただくことを条件に、できるだけ無償で PuzMol を提供できればと考えています。
- 生徒などへのアンケート、ご自身の PuzMol を使ってみた感想など
- 実施の様子が分かる写真(ホームページなどで公開して差し支えないもの)
- 実践された内容(お使いになられた資料なども共有いただけると嬉しいです)
教育機関で PuzMol をつかってみたいと思われたら、ぜひご連絡ください!
PuzMol で化学の学びを「もっと楽しく」「もっと身近に」
分子のパズル PuzMol が、「化学の学びを楽しく身近にすること」「だれも取り残されない学習環境づくり」の助けになればと願っています。
PuzMol の制作者
PuzMol を制作している 山本典史です、こんにちは。
千葉県・習志野市にある 千葉工業大学 / 応用化学科 の教員として、教育・研究に取り組んでいます。
専門は計算化学(コンピュータ化学)。機能性材料や生体分子など、さまざまな分子の性質について、コンピュータを使って調べています。
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お問い合わせ
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